50女の遊び方

50代女性・関西人。己の人生にひたむきに向き合う魂の記録。

言葉が紡ぐ森羅万象

 

 

詩人のエミリー・ディキンソンの話で友人と盛り上がったオキエです。

 

エミリー・ディキンソンさんの事は、かれこれ15年まえくらいに、人に勧められて買った絵本で知りました。

 

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エミリー

エミリー

 

 

生涯の多くの時間は隠遁生活だった、と言われているエミリーですが、近所の子供たちとは仲が良かったそうです。そんな彼女の様子をイメージして、子供視点で描かれたのがこの絵本です。

 

今も残るエミリーの家を見学していた作者は、エミリーが部屋の窓から物語を下ろしてくれた、とあとがきで書いています。

 

 

絵本の最後に飾られた、エミリーの詩。

 

天国をみつけられなければー地上でー

天上でもみつけられないでしょうー

たとえどこへうつりすんでも

天使はいつもとなりに家をかりるのですからー

 

愛をこめて エミリー

 

 

大好きで大好きで、今でもこの絵本は大事にとってあります。

 

 

女流詩人と言えば、日本にも大好きな詩人が二人います。

 

一人は、金子みすゞさん。

みんなちがってみんないい、というフレーズでおなじみの「私と小鳥と鈴と」や「大漁」など、有名な詩がたくさんあって知っている人も多いと思います。

 

その中で、オキエがウルトラ衝撃を受けた詩が「蜂と神さま」。

 

 

蜂と神さま

 

蜂はお花のなかに、

お花はお庭のなかに、

お庭は土塀のなかに、

土塀は町の中に、

町は日本の中に

日本は世界の中に

世界は神さまの中に。

そうして、そうして、神さまは、

小ちゃな蜂の中に。

 

神様が紡ぎだす森羅万象の様を、あまりにも素直に愛しく描いているように感じて、驚きました。オキエはこの詩を読むと、宇宙旅行をしたような気持ちになります。

 

また、ひとりの女の子の気持ちがみずみずしく歌われている詩もたくさんあって、ほんとうに金子みすゞワールドには、はまりました。

 

 

『口真似』~父さんのない子の唄~

 

「お父ちゃん、おしえてよう」あの子は甘えて言っていた。

別れてもどるうらみちで

「お父ちゃん」そっと口真似してみたら

なんだか 誰かに はずかしい。

生垣の白い木槿が 笑うよう。  

 

 

抱きしめたい。

泣きたい。

 

 

いかん。

強さを取り戻さねば。

 

というときには、もう一人の敬愛する詩人・茨木のり子さんの詩を読むのがいいです。

 

 

自分の感受性くらい

 

ぱさぱさに乾いてゆく心を

ひとのせいにはするな

みずから水やりを怠っておいて

 

気難しくなってきたのを

友人のせいにはするな

しなやかさを失ったのはどちらなのか

 

苛立つのを

近親のせいにはするな

なにもかも下手だったのはわたくし

 

初心消えかかるのを

暮らしのせいにはするな

そもそもが ひよわな志しにすぎなかった

 

駄目なことの一切を

時代のせいにはするな

わずかに光る尊厳の放棄

 

自分の感受性くらい

自分で守れ

ばかものよ

 

 

ばかものだー!

おいらばかものだったよーーー!!

 

と、気合が入ります。

 

「ほんまそれな」です。

 

この「自分の感受性くらい」は彼女の代表作だと思うのですが、オキエがもうひとつ大好きなのは「答」という詩です。

 

 

 

ばばさま

ばばさま

ばばさまが一番幸せだったのは

いつだった?

祖母の答は間髪を入れずだった

「火鉢のまわりに

子供たちを座らせて

かきもちを焼いてやったとき」

あの頃の祖母の年さえとっくに過ぎて

いましみじみと噛みしめる

たった一言の中に籠められていた

かきもちのように

薄い薄い塩味のものを

 

 

たぶんオキエも、おばあちゃんになったら似たようなことを言う気がします。

(でも今はクッキングより旅がしたいです。)

 

 

そして、もうひとつ。

この詩は人生の一つの道しるべでもあります。

 

倚(よ)りかからず

 

もはや

できあいの思想には倚りかかりたくない

もはや

できあいの宗教には倚りかかりたくない

もはや

できあいの学問には倚りかかりたくない

もはや

いかなる権威にも倚りかかりたくはない

ながく生きて

心底学んだのはそれぐらい

じぶんの耳目

じぶんの二本足のみで立っていて

なに不都合のことやある

倚りかかるとすれば

それは

椅子の背もたれだけ

 

 

かっこいいです。

 

茨木のり子さんはこの詩を73歳で詠まれました。

私もいつもこの気概を忘れないようにしたいと思います。

 

 

エミリー・ディキンソンさん、

金子みすゞさん、

茨木のり子さん。

 

 

生を哀しみ、生を慈しみ、全身全霊で生に挑み、その世界をありのままに描き出した女流詩人達の言葉は、後を生きる私たちにとっては灯のような存在なのかもしれません。

 

先日、信貴山戒壇めぐりをした時の、真っ暗で何も見えない中で出会った菩薩様のほのかな灯りと似たような、そんな珠玉な言葉を紡ぎ出す詩人、すごい。

 

 

 

オキエも詩を描いてみたいとか思うときもあるけど、どっちかっていうとコメディキャラだから難しいかな。

 

あ、でも!!

コメディな詩もひょっとしたらええんちゃう!?

新ジャンルとして。

 

 

 

~亀岡牛~

 

お昼は食べてくるからいらないって言ったのに

亀岡牛のすきやき弁当

 

気をつかっていただいて

亀岡牛のすきやき弁当

 

カレーを食べてきたのよ私

亀岡牛のすきやき弁当

 

おなかいっぱいなのよ私

亀岡牛のすきやき弁当

 

せっかくなのでおかずだけいただきます

亀岡牛のすきやき弁当

 

おかずだけでは味が濃すぎる

亀岡牛のすきやき弁当

 

晩ごはん抜きにしよう

亀岡牛のすきやき弁当

 

晩ごはん解凍してしまっていた

亀岡牛のミンチカツ

 

 

 

 

うーん。

 

 

間違いなく道しるべだけにはならないな。