50女の遊び方

50代女性・関西人。己の人生にひたむきに向き合う魂の記録。

30女の遊び方

 

大掃除。

それは思い出との再会。

セラヴィ セラヴィ セラヴィ セラヴィ~

 

30代も終わるころ、オキエは神がかったように毎日ひたすら詩や物語を描いていました。どこかの市町村の何かのコンテストの詩集には今もそのころのオキエの詩がいくつか残っているはず。詩の批評をしあうサイトに投稿したこともありますが、斬新すぎて批評が出来ないと批評されたこともありました。顔から火が出そうな愛しい懐かし思い出。

 

その中の物語のひとつが、引き出しの奥底のほうから現れました。

 

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ひさしぶり!

まだあったんや~

 

30女の私はこんなの描いて遊んでいたんだなぁ。

 

その頃のデータが何一つ残っていないので、30女オキエの物語をここに書き写しておくことにしました。保健所を保険所と間違っている痛い部分や、やたらと同じ接続詞を使うのが気になった部分だけを修正して、当時の感性はそのままに残して。

 

 

はなちゃん

 

猫のルーが死にました。

朝、車にひかれて死にました。

ルーはひとりぼっちの猫でした。

だから、生きることにもう飽きていたので、

別に死んでもいいやと思いました。

それよりもルーは天国に行きたいのですが、

どうやったら行けるのかがわかりません。

天使にさえ見放された気持ちになりました。

 

ある太った女の人が、ルーの亡骸を見つけました。

「あら、やだわ。保健所に電話しなくちゃ。」と言いました。

それを聞いていた若い男の人が、

「やだなんて言ったらかわいそうだよ。ひいた奴が悪いのに。」と怒りました。

隣に立っていた若い女の人が、

「そうよかわいそうよ。あなた、なんとかしてあげなさいよ。」と言いました。

「政府はもっと動物を保護する対策を練るべきだな。」

「うちの猫が外に出るときはもっと気をつけなきゃ。」

「あ、保健所が来たわよ。」「もっと丁寧に扱ってやれよ。」

「猫ちゃん、成仏するのよ。」

いろんな人がいろんなことを言いましたが、ルーにはどうでもいいことばかり。

どうにもこうにも天国には行けそうもありません。

 

おや。後ろのほうでじっとこっちを見ている瞳にルーは気づきました。

ほっぺたが真っ赤な小さな女の子が、ルーの亡骸をじっと見ています。

大きく見開かれたその瞳から、ひとつぶ、涙がこぼれました。

そのとき、ルーの心に不思議な風が吹きました。

そしてルーの瞳からも涙がこぼれそうになった瞬間、

たくさんの光がルーに降りてきて、優しくルーを包み込みました。

「天国への道は、こんなところに開かれていたんだ・・・」

 

 

「ほうら、はなちゃん。はなちゃんが植えた種が芽を出したよ。」

さっきから涙がとまらないはなちゃんに、おばあちゃんが言いました。

はなちゃんは少しだけ、顔をあげました。

「新しい命が、始まっていくよ。」

柔かい双葉を、やさしい風がゆらしました。

その風が「ありがとう。」と小さく小さく囁いたのを、

はなちゃんは聴くことができたでしょうか。

 

 

 

泣けるなぁ。30女オキエちゃん、素敵なお話描いてたね。

いやぁ。今はもう描けない。詩も物語も仕事をしだしてからは一切描けなくなりました。描こうと思っても、一ミリも何も出てこない。

 

どの年代のどんな状況を生きていても、その時しか経験でいない生み出せない一瞬のきらめきは宝物だなぁ。

 

 

 

その大掃除なんですが。

 

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ただいま、キフ★ブック で寄付しようと思っていた本の量と、我が家で余っていた空き箱のサイズが不適合のため挫折中。

 

 セラヴィ~